2年ほど前に大阪で展示会をした時に、なんとなく器を購入されたお客様からご連絡がありました。
体調を悪くされて、原因をよくよく調べてたら重金属を受け付けない体になってしまったそうです。
原因は重金属だけでは無いと思いますが、お客様が普段使われている器や漆器を「オーリングテスト」をしてみたところ、全部ダメで唯一相性が良かったのが、「私が製作した器だけ」だったそうです。
その事がお客様にとって「なぜ?」と言う事と「嬉しさで」再度ご連絡を頂きました。
いったん話を重金属に戻しますと、世の中にある発色の良いガラスや漆器、陶器、磁器などは、顔料に有害物質を使います。
科学的に申しますと、黒漆は生漆に鉄分を混ぜると化学反応で黒くなります。
それを効率良くするために水酸化鉄を現代では使います。昔は鉄粉と生漆を使っていました。
焼き物やガラスではコバルトブルー(コバルト)カドミウムレッド(カドミウム)など使用されています。
私の所では、自分で国産大子漆を精製して漆を責任もって使っております。
科学的に説明できる所もありますが、そこを通り越した「物から感じる事」は私が信じて追及してきた部分がございます。
そんな中、1人のお客様から「なぜ?」と言うこともあり、私が自信を持って相性が良い器と1度相性を見るため、7品ほどテストして頂く物として、お送りしました。
すると...全て合格とのお知らせがありました。
根本的な部分で、私は1000年以上続いている技法や伝統をベースに、現代から100年後に伝え残したい物を制作しております。
科学的に考える事と、人が人のために作る思い。
一言で申しますと、「分からないけど良い...」そこには、今の科学では証明しきれない理由がございます。